損得よりも好き嫌い
事業を始める少し前、サラリーマンから個人事業主になって一番の違い(というか「やってみたいこと」)は、「好き・嫌い」で仕事を選べるところだと思っていた。
ドラマでありがちな「よし、気に入った! お前が出世するまでタダで仕事してやるよ。お代は出世払いだぜ」的な。
ところが、実際はもう目の前の仕事をこなすことで精いっぱいで、しかも月末の支払いに追われる日々(これは事業をしている限りついて回ることだが)。
やった仕事の分がいつ入金されるかが気になって気になってしかたがない…「好き」な仕事とか「嫌い」な仕事(相手)とか言ってはいられない。これが現実だった。
依頼を断ることは、まず無かった。
どれも刺激的だし、勉強になるし、企画を作って、それを実現させて(イベントをしたり、パンフレットを作ったりして)お金がもらえるというこの仕事に誇りもあったし、何より好きだった。
2017年くらいだろうか、「便利屋」みたいな扱いを受けたことがあって、代理店の担当者と喧嘩をした。仕事は等価交換だと思っている。なのに、「下請けやろ?」的な扱いに我慢ならなかった。以来、その人からは何の仕事も来なくなったし(来るわけないやん)その部下からも仕事が来なくなった。
コロナ禍と言われる今、観光イベントは大不況だ。
仕事を選べる立場ではないが、それでも、依頼をお断りすることもある。
少なからず利益になるから、受ければいいのだけれど。
損得で仕事をするのは、ある意味当たり前だ。けど、受けるか受けないかの天秤の最後の重りには「好き嫌い」を載せている。