「行く」は口頭語では「いく」とも「ゆく」とも発音されますが、連用形に「た」「て」「たり」が接続するとき「いった」「いって」「いったり」であって「ゆった」「ゆって」等とはなりません。
他の活用の場合は「いかない」「ゆかない」・「いきます」「ゆきます」等のように両方の形が使えます。
動詞の活用としてみた場合、「行く」は通常カ行五段活用に分類されます。しかし連用形ではィ音便の「いいた」「いいて」「いいたり」とはなりません。(「書く」「咲く」などでは「かいた」「さいた」等となります)このため「行く」は変則的五段活用とみなされるようです。
「旅行けば」「我は行く」のようにやや文語的な表現では「ゆく」が使われます。「行く年来る年」「行く春」のように「行く」が時間の経過を表すときなどは「ゆ」を使います。パソコンで「ゆくはる」と打ってもしっかり「行く・・」になります。
「いく」も「ゆく」も古くから使われていましたが、「ゆく」のほうが広く使われていました。現在では「いく」のほうが一般的な語形となったため「ゆく」は古めかしいイメージをもっているようです。誰かが「ゆく」を多用するとまた「ゆく」が主流になる時代がくるかもしれません。