私は20年以上にわたり観光プロモーションに携わってきました。しかし、コロナ禍をきっかけに、改めて地元・芦屋や生まれ育った西宮の観光について考えるようになりました。この地域は、全国的にも「日本一住みたい」と称されるほどの住宅地であり、一般的な観光地とは異なります。それでも、私は「なぜ観光なのか?」という問いに対し、住んでいる人、訪れる人、働く人のために「観光マインド」を醸成することが重要だと考えています。
観光とは「よそ者」との交流
観光と聞くと、多くの人は観光名所やイベント、旅行客を思い浮かべるかもしれません。しかし、観光の本質は「人の流れを生み、交流を促すこと」にあります。観光地ではない住宅地であっても、外からの訪問者が増え、人々が地域に興味を持ち、街を歩くことで新たな出会いや発見が生まれます。それが、住んでいる人たちにとっての誇りや愛着につながり、地域の価値を高めていくのです。
また、観光は「よそ者」の視点を取り入れることでもあります。私たちが何気なく過ごしている日常の風景も、外からの目で見れば魅力的に映ることがあります。例えば、芦屋や西宮には美しい街並み、豊かな文化、歴史のある神社仏閣、洗練された飲食店が点在しています。これらを観光資源として見直し、発信していくことで、地域の新たな価値を創造できると考えています。
観光マインドが地域経済を支える
「観光マインド」とは、単に観光客を受け入れる意識だけではなく、自分たちの住む街を楽しみ、誇りを持つことでもあります。観光地化しない地域だからこそ、住民自身が地域の魅力を発見し、それを外部に伝えることが重要です。その結果、地域内外の人々が街に愛着を持ち、消費活動が活発になり、地域経済にも好影響をもたらします。
例えば、地元のカフェやレストラン、商店が「観光マインド」を持ち、積極的に地域の魅力を発信すれば、それに共感する人々が集まり、リピーターも生まれます。SNSを活用した情報発信や、地域ならではの体験プログラムの提供など、小さな工夫が積み重なれば、観光地ではなくても「訪れる価値のある街」として認識されるようになるでしょう。
「住む」「訪れる」「働く」をつなぐ観光
観光は単なる経済活動ではなく、人々の暮らしに密接に関わるものです。住む人が誇りを持てる街は、訪れる人にとっても魅力的であり、そこで働く人にもやりがいをもたらします。観光を意識した街づくりを進めることで、地域のコミュニティが活性化し、結果的に住みよい街が維持されるのではないでしょうか。
芦屋や西宮は、もともと住環境の良さで知られていますが、その魅力を内外に伝えることで、さらに価値を高めることができます。観光という視点を取り入れることで、「ただの住宅地」ではなく、「訪れたくなる街」「歩きたくなる街」へと進化できると考えています。
私は今後も、観光プロモーションの経験を活かしながら、地元の魅力を発信し、住む人・訪れる人・働く人が共に楽しめる地域づくりを目指していきたいと思います。